2013年5月25日土曜日

感情が灼熱状態


高校(1 年生)時代の交換日記から

Ted: 1951 年 9 月 21 日(金)晴れ

 Ted よ、猛省せよ。冷静になり給え。落ち着きがあって、大地をしっかり踏みしめて歩む自分に帰れ。
 ヨウコ先生欠席。Teinō 先生(Teihen 先生か。よく似たあだ名の先生方がおられて区別がまだつかない)が補欠。鉛筆削り屑事件。腹が立つ。「これは君が削ったのだろう。そうだな?」といわれた先生に対してではない。「ぼくがしました」といわなかった Jap に対してでもない。決して間違いをしたのではなかった。叱られたわけでもない。しかし、感情は灼熱状態になった。変った歩き方をし、変った行動をとって、二限の教室へ行った。そこで構想を練り、三限に叱責的な文と問題を書いて Jack に渡し、Jap につきつけさせた。その文書には時限爆弾をひそませてある。それは不発に終わるかもしれない。四限には、当てられたにもかかわらず、"It is hard for an empty sack to stand upright." を訳さなかった。ますます感情は燃え、胸の中に煙が立ちこめた。
 なぜか周囲が憎らしかった。嘲笑されているように感じた。国語のテキストにちょうど、「自分の感情や行動を分析することは、作品を理解するために絶対必要です」というところがあり、Peanut 先生がいろいろな問題を取り上げられたので、ぼくの心はいっそう燃え盛った。きわめて冷静であるように装い、Peanut 先生の言葉を一つ一つ飲み込んだ。
 なぜ、誰にともなく憎悪の念が起こったりしたのか分らない。(注 1)
引用時の注
  1. 「事件」と呼ぶのは大げさ過ぎるほどのことだったに違いないが、先生に自分が疑われたこと、近くの席だった Jap(TJ 君)が白状しなかったこと、その結果、周囲から自分が悪人のように思われたのではないかという懸念を抱いたこと、これらの重ね合わせによって、大きな不快感が誘起されたのだろう。「…といわなかった Jap に対してでもない」と書きながらも、彼宛に「叱責的な文」をしたためたところを見ると、Jap への憤りは小さくはなかったようである。

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