高校(1 年生)時代の交換日記から
Ted: 1951 年 9 月 1 日(土)雨
連立方程式でのぼくの間違いが Jack に二度目の恥をかかせた。消化しないでノートした Jack も悪いが、たびたび簡単な間違いをすることに、われながら驚く。中学のとき、Naiki に morning を moning と書かせ、田中先生に「モニング」と発音させてわれわれ一同を笑わせたのも、r を抜かしていたぼくのノートが張本人だったのだ。それなのに、当のぼくはいっこうに恥をかかなくてよい。——そして、先生方の間違いを発見してさえいる。
昨日の国語甲の時間に、「はや帰らせたまひなむ」のあとに何が省略されているかとの質問に誰も答えないので、ぼくが「よくはべる」と答えた。Peanut 先生は「うむ、『よくはべる』…。そうだ、『なむ』があるから、[「よく」を(注 1)]連体形にして『よきはべる』」だと。形容詞と動詞をそんな形で接続は出来ない(注 2)。「Scyon 型」と書いて「シーコン型」と読まれた Frog 先生の "k" の音がどこから出て来たかも不思議だ(注 3)。
Sam に頼んでおいてもしてくれないことを Jack に頼んでおいたら、出来上がって来た。それでも、結局ぼくが自分で書き直してしまったから、Jack には少しの資料を提供して貰ったことにしかならない。八枚ある中で、最も細かい字で最も多く書いてあるので、つり合いが取れないようだ。まだ何か書きたい気持だ——。(注 4)
尽きない。果てしない。(何かの歌詞を書いているかのようだ。)[つづく]
Ted: 1951 年 9 月 1 日(土)雨
連立方程式でのぼくの間違いが Jack に二度目の恥をかかせた。消化しないでノートした Jack も悪いが、たびたび簡単な間違いをすることに、われながら驚く。中学のとき、Naiki に morning を moning と書かせ、田中先生に「モニング」と発音させてわれわれ一同を笑わせたのも、r を抜かしていたぼくのノートが張本人だったのだ。それなのに、当のぼくはいっこうに恥をかかなくてよい。——そして、先生方の間違いを発見してさえいる。
昨日の国語甲の時間に、「はや帰らせたまひなむ」のあとに何が省略されているかとの質問に誰も答えないので、ぼくが「よくはべる」と答えた。Peanut 先生は「うむ、『よくはべる』…。そうだ、『なむ』があるから、[「よく」を(注 1)]連体形にして『よきはべる』」だと。形容詞と動詞をそんな形で接続は出来ない(注 2)。「Scyon 型」と書いて「シーコン型」と読まれた Frog 先生の "k" の音がどこから出て来たかも不思議だ(注 3)。
Sam に頼んでおいてもしてくれないことを Jack に頼んでおいたら、出来上がって来た。それでも、結局ぼくが自分で書き直してしまったから、Jack には少しの資料を提供して貰ったことにしかならない。八枚ある中で、最も細かい字で最も多く書いてあるので、つり合いが取れないようだ。まだ何か書きたい気持だ——。(注 4)
尽きない。果てしない。(何かの歌詞を書いているかのようだ。)[つづく]
引用時の注
- [ ]内は引用時の追加。
- 私も「なむ」との係り結びとして「はべり」の連体形を使っているが、問題の言葉をいま見ると次のことに気づく。「なむ」は、「たまふ」の連体形のあとでなく、連用形のあとについているので、強意の副助詞ではなく、完了の助動詞「ぬ」の未然形と推量の助動詞「む」の終止形がつながったものである。補うべき省略は、それより前の言葉が書かれていないので考え難いが、「よろしかるべし」と推量の形にしたいところである。
- 生物の Frog 先生は "sycon" と書くべきところを間違えたのだろう。石灰海綿綱に属する動物の三種の型の一つに「サイコン型」(syconoid) がある。
- 中学卒業時の交換写真を貼ったアルバムのページに添えた説明文の、Minnie について分のことである。いま、それらの説明文は残っていない。
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