2013年2月5日火曜日

七夕


高校(1 年生)時代の交換日記から

Ted: 1951 年 7 月 7 日(土)晴れ(つづき)

 こんなのが果断さかな? 一つには、Jack の家へ行かなかった。もう一つは、Jack が難しいといった杜翁の『復活』を、夏休みの国語甲の宿題の研究対象に内定したこと。共同研究者の Jack は何というか分らない。

 予期は適中する。紫中の前で Tom に出会った。彼は大学前の方から来たので、どこへ寄ったのかと思ったところ、AR 君にアコーディオンを習いに行っていたといった。くぐるようには出来ていないが、くぐるとよくいうものを通り、校舎内で Becky にひと目おめにかかった。それから、Tom が大学病院に誰かを見舞うというので、ぼくの帰る方向へ一緒に歩いた。別れるときの Tom は、心なしか平素より元気がないようだった。

 天徳院の境内を通ると、石けんをたくさんつけた手を水に浸したときの音のようなセミの声がした。子どものいる家々の前には、笹が立てられ、色紙による作り物や、「天の川」「七夕祭」の字などが、あるいは暑く、あるいは涼しく下がっている。

 九時前だが、星はまだ出ない。街灯の下で影とともに飛び回っている幼女の声が、妙なほどよく響く。

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