2013年2月21日木曜日

一学期の終業式


高校(1 年生)時代の交換日記から

Sam: 1951 年 7 月 14 日(土)曇りのち雨

 衛生室を普通の日の三倍の人数で大掃除する。ぼくと他の一、二名は回転窓のガラス拭きだ。回転窓の下の二枚の窓をはずして降ろし、その上に馬乗りになってするのである。ほこり(内側)と泥(外側)にまみれていて、簡単には美しくならない。ぼくと共同作業者とは、時間の大半を窓ふきでつぶした。
 いよいよ終業式。といっても、アセンブリーと何ら変わるところがない。最初に生徒会副会長から一昨日と昨日に行なわれた校内球技大会と水泳大会の結果の発表があり(マイクが悪くてよく分らない)、次いで賞品授与が行なわれた。
 引き続いて、終業式に入る。校長が壇上に立つ。「昨今来、校下十数地区の PTA 地区委員会をもったのであるが、父兄方のご意見によると」と、まず「よく勉強するようになった」など、聞かされたよい点を挙げる。それが一通り終わると、「着帽しないで外出する」とか「所定の時間外に昼食を食べる」とか、悪い面が指摘された話になる。すると三年生の方で騒がしくなり、主としてあなどったような、あざけりの声が出る。たまりかねた金太先生が「いま、終業式なんだぞ。君たちはそれでも学生か!」と、一喝する。校長は「いま木南先生がおっしゃった通り」とでもいうかと思っていたが、そのまま話を進めて行く。それでも、その後二度ばかり校長は、「静かに!」という声を発しなければならなかった。その度に、どこからともなく「シーッシーッ」という制止の声が起こる。ディーンから、夏休みについての注意が少しばかりあって、ホームへ入る。
 ホームでは、もう一度、ホームルーム・アドバイザーの訓話を聞かされる。ぼくともう一人の生徒(高中出身で生徒会長をしていた)とに、いまやっと「奨学生採用通知書」が渡された。「最初の奨学金交付は諸手続き上、凡そ1ヵ月後になります」だと。それでは、来学期にならなければ駄目なんだ。
 帰る前に図書館へ寄る。ぼく自身、別に読みたい本もなかったから、Ted のために少しでも役に立てばと思って、「わずか何十万かそこらの人間が一つの小さな場所へ集まって押し合いへし合いしながら、その地を醜い奇形なものにしようといかに骨を折ったところで…」という書き出しの本(ただし、上巻だけだが)と他の一冊を借りた。二十一日が返還日だから、Ted には二十日までに返して貰わなければならない。とすれば、一日でも早く Ted に渡した方がよさそうだ。(つづく)

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