2013年3月16日土曜日

本あさり


高校(1 年生)時代の交換日記から

Sam: 1951 年 7 月 29 日(日)快晴

 午前十時頃から出かけて、片町と香林坊にその位置を占めている書店の「本あさり」というのをやる。真っ先に見るものは将棋関係の雑誌、それからその他の雑誌、その次は何でも面白いと思うもの、——といった具合かな。行った目的は、石川県地図を買うことだった。40 円のを買った。それより10 円安いのもあったが、それは気にくわなかった。

 驚いたな。でもすばらしいや。うれしいよ。ぼくはこんなもので入賞したというのを始めて聞いて、始めて見た。何にしても、めでたいね。「壱」でなかったからといって、残念がる必要もあるまい。その幾十倍、幾百倍の人はそんな結果を与えられなかったのだからね。もとは、頭と目を少し働かせて、手を動かして、鉛筆で紙に字を書いて、箱の中へ入れただけだから。七月三十一日に富山の国際劇場で運命を決めることになっているもの
(注 1)よりも、よほどましだよ。賞品も予期以上のものだったし(といって、中味は知らないが)。くどくどと書けばきりがないが、とにかく喜んでいる。

 地元勢全滅か! 何といっても悔しい。

 (日は一日さかのぼる)Funny は賭けにみごと敗れて、映画一回の損失をしたとのこと。日米対抗陸上で砲丸投げのアメリカの誰やらの記録が 15.18 m だったのを、彼は 18 m だと思い込んで張り合ったのだそうだ。彼らはこんなことを主張し合うのがとても好きらしい。そして、議論すればするほど、自分の意見が正しいと思いこんで、ついには賭けという最後の手段によって決定するのである。それは間違っているかもしれないけれども、ひじょうに活発だ。あくまでも、主張が正しいか誤りかの結論を知るまで頑張るのである。(つづく)
引用時の注
  1. 宝くじのことか。

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