2013年3月17日日曜日

ホームルームの海水浴行き(2):海辺での二十の扉


高校(1 年生)時代の交換日記から

Sam: 1951 年 7 月 29 日(日)快晴(つづき)

 Keti と Monkey はさっそく、まっしぐらに海へ突進したが、他の者はみなござの上に坐ったり寝転んだりしているだけだった。HRA(ホームルーム・アドバイザー)が何か面白い遊びはないかと、ぼくにもちかけてきた。突然のことなので、ぼくは「さぁー?」を三回ばかり繰り返した。そして、二十の扉ぐらいどうでしょうというと、大衆向きだねといって賛成してくれ、みんなに呼びかけて、さっそく始めた。一人が一題を出し、出題者が司会者を兼ねることにし、司会は出席簿順にすることにした。
 ぼくは終りから三番目。一人目も二人目も「植物」。ぼくが二人ともに「食べられますか」と質問したので、ぼくが「問題は植物です」といったとき、目ざとい(?)女生徒の一人が「何か食べ物かもしれない」ともらして質問したが、これに対するぼくの答えは「いまの状態ならば無理です」だった。それで、だいぶん範囲が限定された。しかし、十八問目になってやっと、「汽車の窓から見られましたか」という質問が出たが、時すでに遅く、二十問目を通過して二十五問目でやっと正解が出た
(注 1)
 HRA の出題は「動・鉱・植物」で、「砂浜で砂と遊んでいる子ども」という長ったらしいものだった
(注 2)。十七問でぼくが「子どもが砂浜で砂と遊んでいる状態」といって、それを正解として貰った。
 それよりももっと難しかったのは、「キセルにつめられた煙草」である。「この海岸で見られますか。」「ええ、さっきまで…。」「身につけるもの?」「違います。」「のむ・食べる、関係あり?」「あるといえばあり。」「ビールとかサイダーですか。」「いいえ」「のむ方に間違いはないね。」「ない。」「あまいのとからいのに分けて、あまい方?」「まさか。」「これは復習ですけどね…。」といった具合。「煙草を喫むの "のむ" だとは思わなかった
(注 3)」とは誰もの言葉。概して、海水浴や夏に関係のあるものが多かった。(つづく)
引用時の注
  1. 正解は書いてないが、Sam のこの日の日記の前の部分から、「汽車の窓から見えたブドウ(あるいはナシ)」というような出題だったかと思われる。
  2. 「子ども」を当てるのに、ヒントが「動・鉱・植物」というのは奇妙だが、当時の NHK 番組「二十の扉」では、出題がある場所での人物の状態である場合には、ヒントを「動・鉱・植物」にするというような決まりがあったかもしれない。その意味では、このあとに書かれている Sam の解答が、むしろあるべき出題の形であろう。
  3. かつては「煙草をのむ」とよくいったが、いまは「煙草を吸う」が普通のようである。「喫む」と書いて「のむ」と読むことがなくなった影響だろうか。

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