2013年4月15日月曜日

学校で「ボヤ中のボヤ」


高校(1 年生)時代の交換日記から

Sam: 1951 年 8 月 20 日(月)晴れ

 『拳銃の嵐』なんて映画は、Ted は嫌いだね。では、この次の『純愛の誓』というのを二人で見に行くかい。ぼくも少ないが、Ted の方がもっと少なくしか銀幕を見ないらしい。でも、全然嫌いじゃないんだろう? ぼくは大好きだ。しかし、無料か(無料ならどんなつまらないものでも見る)、三十円以下で為になるもの以外は敬遠するね。
 せっかくの機会だから、Ted と一緒に映画を見ることにしようじゃないか。ぼくだって、それに Ted だって、痛くもかゆくもない(けっして損にならないということ)からね。もし Ted が断るならば、ぼくは今月中に上映される二本ともを一人で見に行くか、または他の友だちを誘わなければならない。そんなことをするよりは、Ted と行く方が何倍もよい。Ted が観光花火大会のとき、ぼくを呼びに来たように…、でも、あのとき、ぼくはいなかったね…済まなかった…あのときは欲望を抑えきれないで一人で飛び出したのだ——。

 火事! いつもなら「さようなら」か「さいなら」といって Ted と別れるのに、「さい!」に縮めて、あわてて飛んで行ったのに、火事はとっくに済んだあとだった。駆けつけた消防自動車の数の逆数ほどの「ボヤ中のボヤ」だったそうだ。学校は何ともなかった。校門のところに同ホームの女生徒が数人の友人とどこかへ行くらしい服装で立っていた。ぼくの方には全然気がつかなかったらしい(そんなことはどちらでもよい)。
 帰ってしばらくすると、Neg が自転車で来て、スジカイマチ(「折違町」。どこか、すぐ思い出せるかな
(注 1))まで一緒に来てくれないかという。さっそく出発。昭和通りはところどころ工事中だったので、思うようなスピードは出せなかった。用件を済ませてから、車庫前まで二人で語り合いながら来て別れた。

 茂君(こんな名前の人物はたくさんいるがね)が荒木先生のところへ行かないかと誘ってくれた
(注 2)。ぼくの自転車には電池がないので、自転車屋から借りた。広坂で岩君に会い、三人で訪れた。先生の家の前で少しばかり話したあと、四人で散歩に出かけた。いろいろの話が出る。ときには、ぼくの全然知らない話もあったりして、黙って聞いてばかりいなければならないこともあったが、先生は退屈させないよう、巧みにみんなに同じように話す時間を与えて下さる。
引用時の注
  1. 折違町は JR 金沢駅のすぐ近くにある。私が京都へ行く日に、見送りに来た Sam と一緒に歩いたのだったか。
  2. 荒木先生には私も中学で理科を習った。この先生の名も「茂」で、几帳面な先生だった。若くして亡くなられた。

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