2013年4月10日水曜日

年下の子と海水浴に


高校(1 年生)時代の交換日記から

Sam: 1951 年 8 月 16 日(木)晴れ

 今年最後になるだろうと思って、午後から金石へ I 君を連れて海水浴に行った。海水浴の人と、お盆で里帰りする人で、電車にはかなりの乗客があった。
 われわれは浜茶屋に入った。入りたくなかったけれども入ることにした。さっそく海へザブン。I 君は泳げない。ぼくの海水パンツがやっと隠れるくらいのところで、懸命になってもがいている。波がくれば、それこそ大あわてである。海は好きでないらしい。この前、町内から海水浴に行ったとき、やっと木槌になったといっていたが、珪化木で作ったような木槌だ。平泳ぎの真似をして見せてくれたが、右手と左手がばらばらだし、おしりがポコンと飛び出している。クロールの真似をすれば、ひざから先しか曲がらないし、二、三回バタバタやると、それでおしまいである。ばからしくなった。でも、ぼくにもそんなときがあったと思うと、気の毒になった。
 I 君を待たせておいて、ぼくは遠浅まで泳いで行った。遠浅の位置は、この前やその前のときとだいたい変っていなかった。潜ってみると、ヒラメの泳いでいるのが見られた。しばらくして波打ち際へ帰ってくると、I 君は怒っていた。そして、ひとつも面白くないから帰る、といい出した。ぼくはいろいろなだめてみたが、どうしても帰るといい張って着替え、さっさと帰ってしまった。ぼくも責任はもたないよといって、さよならした。
 友だちとならこれまでよく海水浴にきたことがあるが、自分より年下の子どもを連れてくるということは、これが初めてである。だから、どうして遊ばせればよいか分らないから駄目だ。ぼくは、それから何回も遠浅と波打ち際を往復して遊泳した。
 家へ帰るとすぐ、I 君のところへ行った。I 君はいたって平気だった。

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