2013年4月24日水曜日

薄暮の散策


高校(1 年生)時代の交換日記から

Ted: 1951 年 8 月 27 日(金)(つづき)

 夕食後、二限の TAK 先生の言葉(書物ばかりと取り組んでいることの生理的悪影響)を思い出し、電灯をつけるには早い反面、つけないでいては薄暗い頃でもあったので、散歩に出る。上野町百何番地の辺りから四十何番地という家がある通りから、上鶴間町四番地一帯へ。三月二十日頃に Funny とSam が来たのは多分この辺だろうと思っているとき、Train の姿が網膜に大写しになったので、左右をきょろきょろ見ながら歩くことを慎まなければならなかった。天徳院の門の横辺りから、門よりも遠ざかる向きに伸びる道を取っているとき、TOK 君に会った。彼にこちらから話しかけたことはないが、中学二年のとき Octo と同じクラスだった彼の方から硯や筆を借りに来たことがある。彼は、「おい、どこへ行く」と厳しい質問をする。小立野新町の番地をだんだん大きい方へたどると、四十番地から五十番地は下り坂の先らしく思われる。数歩下りてみたが、袋小路になっているようで、その先へ行くことはやめた。(注 1)
引用時の注
  1. 当時は、職員と生徒の住所入り名簿が生徒に配布された(夏休み前だったと思う)。それでこのとき、近くの町に住む、少し目立つ二人の女生徒たちの家はどういうところだろうかと、名簿で覚えた番地を散歩がてらに探したのである。訪れる気は全くなく、番地から家を探し当てることに、ゲームに似た楽しみを感じていた。

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