2013年6月9日日曜日

言葉の不思議な力


高校(1 年生)時代の交換日記から

Ted: 1951 年 10 月 5 日(金)晴れ
Ted: 1951 年 10 月 6 日(土)晴れ

 言葉はわれわれを笑わせたり、重大な事件に巻き込ませたりする不思議な力を持っている。また、小さな球体の表面にごろごろと生きているわれわれが吐き出す言葉の多くはつまらないものである反面、深くて偉大な言葉も古くから多く生み出されている。
 体操クラブ員の空中転回を見て、誰かがとっさに「因数分解!」といったのや、不等式の表す x の範囲を数直線上に一連の斜線を引いて答を示す問題の答を黒板にあいまいに書いた生徒に、ヨウコ先生が「両端ですか、真ん中ですか」と質問したとき、Jap がすかさず「なか、はし(中、端)!」とその生徒の名前[中橋]をいったのは、大いに笑わせる言葉だった。一日のうちには、真剣な言葉も聞けば、どこまでが本当か分らない言葉など、いろいろな言葉を聞かされる。

 昨夜は母を迎えに行った。駅は停電にこそならないが、Sam がぼくを送ってくれたときにあったような広告用や装飾用の華やかな人工光線は見られなかった(注 1)。改札口から出て来る人の列に、意味を解しないで本を読むときに文字の上を走らせるような視線を投げ続けた。
引用時の注
  1. 金沢駅の 3 代目駅舎への改築工事が始まっていたのか。

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