2013年6月12日水曜日

読書に関する作文への考察


高校(1 年生)時代の交換日記から

Ted: 1951 年 10 月 8 日(月)晴れ、午後曇り

 自分より上のものに対して、何か徹底的に攻撃し、打ちのめしてやりたい気がする。読書の間にも、その本の著者に対して、こうした気持を起こしやすい。それは、よい読み方とはいえないかもしれない。しかし、反抗したい心、優越したい心は一概に悪いとはいえないだろう。なぜならば、それは高みを求めて止まない気概と急速な向上につながるからだ。そこで大切なのは、攻撃ばかりに気を取られて、蓄えをおろそかにしないことと、猪突猛進にならないことだ。
 交友の理想的な域とはどのようなものだろう。これは人間相互の、かなり厄介な問題だ。四月頃、Lotus に連れて行って貰った映画の中の、粗い細胞ばかりが固まって出来たような二人の男が何かを約束して握手する姿の後ろに大きな虚ろを感じさせられた場面を思い出す。われわれがこのような虚ろさを全く感じないで友に出来る相手は、むしろ人間以外の、万象限りない自然や、作者が心血を注いで生み出した書物ぐらいのものではないだろうか。(国語乙の宿題で、読書に関する作文を書かなければならないので、その案を立てるために、ここでいろいろ考えることを許してくれ給え。)書物という静かな、しかし、変化の多い、あるいは、その中に躍動を含む世界は、われわれを磨き、柔軟にしてくれる。[つづく]

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