2013年9月21日土曜日

待ち遠しかった質問時間


高校(1 年生)時代の交換日記から

Ted: 1951 年 12 月 21 日(金)晴れ

 Jack と六時過ぎまでかかって、図書館で調べて来た冬休みの宿題(生物学年表の作成。その他に、筋肉と骨格の名称を調べる保健体育の宿題もある)を整理し、ヨウコ先生が黒板に書かれた八題の問題もしなければならないのに、七時四十分まで停電。
 国語甲は、寺田寅彦の「山頂の科学者」(注 1)を終わり、「学習の手引き」欄の問題をしている間、質問時間が待ち遠しくてならなかった。その時間が到来すると、まず Jack が四ヵ所の誤字(先生が読んで行かれる途中で訂正されたのを除いて、ぼくが Jack にも少し発言させようと、見つけて譲ってやっただけで、これだけの数になる)を、「間違っているのではないですか」と、遠慮深い口調で指摘した。その間、彼の斜め後ろの席で、「"ではないですか" じゃなくて、"間違っています" だ」と、気をもんでいたぼく自身は、科学的事項一つを交えた三つの誤りを指摘する質問をした。
 一番目は、「ロゼッタストーンの聖文字」の「聖文字」に「ヒエログリフ」のルビがついていることについて、「これは変ですよ。ロゼッタストーンのことを書いてある本を読んだところ、それには三通りの文字が書かれていて、その一番上のは、 "ヒエログリフィック" というのです」と、それ以上のことをその石について知っているような顔をして述べた。(注 2)[つづく]
引用時の注
  1. インターネット検索で調べて、原題名「小浅間」と分った。こちらで、青空文庫版を読める。
  2. ロゼッタストーンの 3 通りの文字は、ギリシャ語、デモティック、ヒエログリフであり、「聖文字」のルビとしては、「ヒエログリフ」で正しく、この質問は私の勇み足だった。
     上記の 3 種の文字で書かれた文を英語ではそれぞれ、Greek text、Demotic text、Hieroglyphic text と呼ぶ。「デモティック」は同じ形で名詞と形容詞に使われるが、「ヒエログリフ」の形容詞形では、-ic の語尾がつく。私が読んだ本というのは、日本少国民文庫の一冊中の一話「シャンポリオンの苦心」(粟田賢三著)でる。その文には、「デモティック」と同語尾の「ヒエログリフィック」が名詞として使われていたのだろうか。

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