2013年7月14日日曜日

見せる羽を持っていない鳥


高校(1 年生)時代の交換日記から

Ted: 1951 年 10 月 31 日(水)晴れ

 何のことはない。もう、赤の上に灰色を重ねた服装に変って登校している。一つの鋭い鋭角を持った幾つかの三角形の寄り合いの、外側を滑らかな曲線で囲んだ感じがかもし出す、寄せつけない雰囲気の笑み。——彼女についての観察は、ずいぶん何度も Sam に知らせて来た。——何を書こうとしたのか分らなくなった。——
 教室に出入りするとき、昼休みにはときとして狭い廊下で、よくわれわれの目は衝突する。——この調子では、長い本論を書き始めることになりそうだ。——などといって書きしぶっては、また、誤解されるかもしれないが、次の結論(「英語会話」が終わってから、ニュースが始まるまでかかって考えたものだ
(注 1))だけでやめておこう。
 「広げて見せる羽を持っていない鳥だ。しかし、だから…」
(注 2)
 It is complicated. It is complicated. It is complicated. It is ...
 短い編集会議を済ませて帰り、富山県営球場での日米親善野球の実況放送を聞いた。アナウンサーが、第一球で「ストラックアウト!」といったり、「新しく新調いたしましたユニフォーム」といったりするので、誰もいない部屋(祖父は外出していた)で、複雑な問題を忘れて、独り笑った。ブンちゃんのホーマーはよかったが、6–2 では、歯が立たない感じだ。
(注 3)
引用時の注
  1. この頃、わが家にラジオを購入したばかりだった。
  2. Vicky とのいわば「無関係な関係」について、高校時代の日記では抽象的な言葉でしか表現しなかった。私の彼女への当時の気持は、具体的にはどういうものだったのかということに加えて、定年退職も近い頃になって彼女と同窓会などで何度か話す機会があったことも、Sam に一度報告しなければと思っていた。しかし、その矢先に Sam は病死し、報告の機会が永遠に失われた。そこで、Sam に報告するはずだったことを英文の短篇小説の形にまとめたのが "Vicky: A Novella" である(私の自費出版書 "Passage through Spacetime" に含まれている)。
  3. 「ブンちゃん(文ちゃん)」とは、中日ドラゴンズなどで活躍した西沢道夫選手(1921–1977)の愛称。1950 年に記録した 1 シーズン 5 本の満塁本塁打は、現在も日本記録である。1977 年に野球殿堂入り。

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