2013年10月8日火曜日

Sam の創作「橋」への感想 (4)


友人たちとの文通記録

Ted から Sam へ: 1959 年 12 月 29 日[つづき]
「私がここでこの欄干といっしょに落ちて死ねば、市でも代りの丈夫な欄干を急いで作ってくれるだろうと思ったものですから。」
と晴子がいうところには、鋭い社会批評の片鱗が見られて、ここは私がこの作品の中で一番面白く思ったところである。また、この作品の中では、この前後の、ほとんど発端というべきところが、同時に山になってしまっていると思われる。

 君の文章の傾向について、「コント風の味がある」というようなことを、私は以前に書いたことがあるが、この作も、後半は、君独特の軽妙な奇知で、さっと流されている感じだ。欲をいえば、軽妙過ぎて、深みがとぼしいということになる。

 他にもいくつか気づいた細かい点は、この感想を君に渡すときに口頭で伝えよう。(注 1)[完]
引用時の注
  1.  54 年も前に自分の書いたこの感想を、いま読み返してみると、「細かい点は、[…]口頭で伝えよう」といいながら、書いてあることも、かなり細かい点ばかりという気がする。主題は何で、それがどう扱われていて、その効果がどうか、という大局的な感想が欠けている。第三者(54 年後の私も第三者である)が読むことを意識して書いてはいないので、読んで作品の筋が理解出来ないことは、ある程度止むを得ない。しかし、ヒロインが自殺を考えたのは、深刻なテーマのはずであり、それに対する感想を中心に据えるべきではなかったか。「軽妙過ぎて、深みがとぼしい」は、ある意味では、全体的な感想だったのだろうが…。
     Sam の高校 3 年のときの創作への感想を掲載したついでに、消滅したブログに一度掲載した、私の同時期の創作「逍遥試し」を再掲載しようと思う。

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